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ライチュウの思い出

山手線に乗っていたら、ドアの上のテレビ画面にポケモンが出てきました。

Ankerがポケモンの充電器を販売するらしい。
コラボするポケモンは、ピチュウ・ピカチュウ・ライチュウの3種類。
充電器は各ポケモンのモチーフカラーになっていて、側面にシルエットが印刷されています。

https://www.ankerjapan.com/pages/anker-pokemon2022

ぼんやりとそのCMを眺めながら思いました。

ライチュウ……売れる?

ピチュウ・ピカチュウの充電器は、黄色。

いかにも電気が流れていますよ!ビリビリ充電中ですよ!といった配色。対して、ライチュウはくすんだオレンジ色。
他二つと一線を画している感があります。

(※充電ポートの数やW数、スペックなどで三段階に分けているらしいので、一概に外見で売れ行きは判断できませんが……)

可愛いと言えば可愛いけれど、よく見るとそこまで可愛くない。
もちろん、カッコ良い系のポケモンではない。

ライチュウって、微妙なラインを行っていますよね。

ずんぐりした体で、ピカチュウよりも筋肉質で、ポイントカラーの赤いほっぺは地味な黄色に変わり、昔のアニメでは威圧的なハスキーボイスで「ラーイ!」って言ってました。
(そしてサトシのピカチュウをいぢめていた。)

ピチュウが出現してから、可愛い系ポケモンの座をさらに奪われ、立ち位置がよく分からなくなっています。

同じく任天堂のキャラで例えると、マリオの他に優秀で人気者の兄弟が出てきちゃったルイージみたいです。
……いや、ピチュウこそがルイージなのか。

しかしながら、わたしはライチュウが大好きです。
ポケモンの中で順位づけをするとしたら、一番はもちろんライチュウです。

君に決めた!と言いたいところですが、正確にはクラスメイトの男子が勝手に決めました。

「ライチュウでいいよな!」

わたしが小学生のころ、ポケモンゲームの記念すべき第一弾「ポケットモンスター赤・緑」が爆発的に流行しました。例に漏れずわたしもポケモンをプレイ、そして挫折。

モンスターのレベル上げが面倒くさくてたまりません。
序盤は自分の家の周りにいる、ハトやネズミのポケモンを倒したり、近所の少年が持っているハトやネズミのポケモンを倒したりしてレベルを上げていくのがセオリー。
それがとにかく面倒くさい。
なんでこんなにハトとネズミを倒さなければいけないのか。
生態系を乱すレベルで延々とハトとネズミを駆除していくのです。田舎の自宅の近所の茂みで。あとイモムシとかハチなどの害虫系も殺……たおす。

すごい面倒くさい。
シルバー人材センターのおじさんとかに頼んで欲しい。

なんとかしてラクに攻略できないかな。強いポケモン手に入らないかな、と頭は既に横着モード。

そこで小学生の小さな脳みそはヒラメキました。

誰かから強いポケモンをもらえばラクに攻略できるぞ!

今やクラスメイトのほとんどがポケモントレーナーでした。
強いポケモンは選り取り見取りです。
中でもOくんは、ゲーム・プログラムの裏をかいたバグ技を試して画面に不思議な数式が浮かび上がるほどポケモンを愛し、作り手の意図を超えて攻略しまくっていました。

わたしはOくんに「強いポケモンちょうだい」と持ちかけました。

ちょうだいっていうか、交換しよう。適当なポケモンそのへんで捕まえてくるから、なんか強いのと交換してください。

いいよ! とOくんは快諾しました。

「いいよ!バグ技で100レベルのポケモン作ってやるよ!ちょっと待ってろ!」

先程ちらと書いたように、ゲームボーイ版のポケモンは意図的にバグを作り出せます。
あるアイテムの選択する際に、特定のボタンを押しまくって、さらにある場所まで行くとそのアイテムが増えたり、「けつばん」と名前のついた謎のポケモンが出現したり、レベルの低いポケモンが一気にレベル100になったりします。

「レベル100だったらなんでもいいよな!ピカチュウでいっか!カミナリの石も100個作ったから、進化させとく!ニックネームとか適当でいいよな!……はい!」

とテンポ良く送られてきたポケモンがライチュウでした。

ニックネームは「サナヌフヨ」。すごい適当に文字ボタンを押して、命名したのがまるわかりです。
人からもらったポケモンはニックネームが変更できないので、このライチュウの名前は一生そのままです。

こうしてわたしとサナヌフヨはマサラタウンにさよならバイバイして旅に出ました(ラーイ!)。

次週へ続く

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