サピエンス全史 上下
ユヴァル・ノア・ハラリ
ヒトの祖先、ホモ・サピエンス。他の類人猿を押し退けて全世界に進出した我々の歴史を紐解いていく。
高校生の歴史・公民を習う前に読みたかった……。
宗教・貨幣・産業・戦争・科学……人類が手を染めたあらゆるジャンルが広く深く語られていてすごい。本の中にミニチュアの地球が入っているみたい。
どの章も必ず目から鱗の知識が入っているんだけれど、特に面白かったのが「小麦」と「宗教」と「帝国」の話。クリスチャンでさえ一神教じゃなかったんだ。びっくり。
タタール人の砂漠
ディーノ・ブッツァーティ
戦いのない平和な砦に勤務となった若い軍人が、戦が起こるかも知れない希望にすがって、人生をすり減らしていく。
物語序盤は、とにかく砦の中に入ってくれ門番に門前払いをされないでくれ砦の周りをウロウロしたまま老けないでくれ、と願いながら読んだ。
新卒入社2年目くらいの若人にすすめたい。主人公の抱く不安は、現代社会にも通用する。
不条理といえば不条理だけど、主人公にも選択の余地は残されていたと思う。まるきり運命の力技というわけでもなく、それ故に救いが残されているところが良い。
今、台湾で隠居してます
大原扁理
年収90万 東京でハッピーライフを送っていた筆者が、お次は台湾移住(隠居)へ。
ゆるやかな時間が流れる異国で、のびやかに綴られた生活の知恵。
わたしも海外でだらだら過ごしたい……と野望を抱いているクチなので、序盤の海外移住の準備や手続きの部分はとても勉強になった。
が、筆者の大原さんって、たいへんサバイバル能力の高い人なんだなとも感じる。普通の人が低所得のまま海外へ移住するのは、リスクが高そう……。
という感想を度外視しても楽しい本だった。ちょっとシニカルすぎる部分もあるけれど、まあスパイスということで。
大原さん、現在は東京のご実家におられるとどこかのWEB記事で読んだ。東京生活のエッセイ出してほしい。出版社さーん。