一期一会の不思議な出会い。
今でもたまに思い出す女の子がいます。
わたしが高校生のころ、アルバイトで帰りが遅くなって、電車を待っていたらお母さんと女の子が来ました。
女の子は小学三年生くらい。
習い事だか親戚だかの家に向かう途中で、お母さんはついていけないらしく、
「この駅で降りるのよ。降りたらこの道を行くのよ」
と言い聞かせる声が聞こえました。
その駅は単線で、無人改札レベルの田舎で、わたし以外に電車を待つ人はいません。
八時か九時ごろだったと思います。
夜更けではないけど、夕方でもない。
小さな子どもを一人にするのは、ちょっと心配な時間帯。
お母さんが制服姿のわたしを見つけて、
「すみません。電車が来るまでこの子の側にいてあげて、一緒に乗っていてくれませんか? 降りる駅はわかると思うので」
と頼まれたので引き受けました。
その心配そうな顔と
「無害そうな女子高生がいる!渡りに船だ!」
と言いたげな安心した顔を覚えています。
女の子と二人並んでベンチに腰掛け、
電車が来るまで雑談をしました。
プリキュアの話をした気がします。
「小さい子どもとお話しなんてできないよ」と思いながら、
頑張ってお姉ちゃんぶって話をしたり聞いたりしました。
電車が来る直前、その女の子が
「ねぇ、また会えるよね? お姉さん、この時間にまた会える?」
とわたしを見上げて問いかけました。
夜だし暗いし、これから一人でどこかへ向かうのが心細いんだろう。
そんな中、プリキュアの話ができて、わたしが友達に見えて、名残惜しいなと思ってくれたんだろう。
そこは普段は使わない駅で、アルバイトの事情で降りただけから、もう会えない気がする。
でも、頼ってくれて、ありがたいな。
と、思いつつ、
「また会えると思うよ〜」と言ったら、
「そうだよね〜」と女の子もにこにこしていました。
あのときの女の子の心細さと小ささとランドセル。
そして、わたしを見上げたときの、真っ直ぐな眼差し。
子どもを持つ年齢になってから、
「あの子の目は、子どもが大人を頼るときの目線だったのか」
と発見しました。
高校生なんて全然子どもだけど、
小学生の女の子にしたら、すごく頼り甲斐のある大人に見えたに違いない。
一期一会の出会いでしたが、今でもたまに思い出します。
あの女の子は元気かな。
元気でかわいくいるといいな。