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Daokoさんの素敵

酔っていないと、ラブレターみたいなファンレターは書けない(なのでワインを飲みながら書いている)。

なんとなく深夜番組を観ていたら「東京モード学園」のCMが流れてきて、きらいきらいきらいきらいだいすきという独特な歌詞が耳を突き、それがDAOKOさんというアーティストの作品を聴いた初めてでした。

おお、なんだかすごいってかヤバイな……!

とまったく語彙力のない思考が脳内を蹂躙、テレビ画面下に表示されていたアーティスト名をググって、虜になるまでに大した時間は要しませんでした。
その頃、楽曲のサブスク配信は世間に浸透しておらず、私はCDショップを駆け巡って「DAOKO 」と名がつくCDを片っ端から借りました。
「daoko」と小文字の名義がつく作品は、インディーズレーベルで活動していた頃のものだと後で知りました。時系列は気にせず、気になるジャケットから聞いてみました。個人的な好みがあるから濃淡はあるのですが、何がしかの爪痕を心に残す。

この感覚は、なんでしょう。経験したことないのに経験しているような、謎の感じ。
アーティストが感じた体験を色褪せる前に作品に濃縮しているのか、とても濃いものが伝わってきてしまい、ぼんやりしながら道端で何度か転びかけました。

まるで夢の中にいるような音楽体験でした。

「ShibuyaK」という曲の中に「街にもキミにも思い出を重ね『エモい』で終わりじゃダサいしな」という歌詞があります。

すごく「エモい」のに「エモい」で終わらない。それは、作り手の死生観が巧みに織り込まれているからだと思います。幸福を歌った歌なのに幸福でなく、不幸を嘆く歌なのに不幸でなく、すべてが入り乱れてぐしゃぐしゃになりつつも美しく生きている心地がします。「生命の躍動」とか言うと大袈裟だけど、小さな鼓動がとび跳ねている。

Daokoさんの楽曲が美しいなと思うのは、息づいた歌詞の外側に死があるからかなと考えています。死生観が淡白というより、仏教の涅槃に近い印象です。この仮説は今後も検証予定(笑)

可愛らしい声質なのに、「アニメ声」などの一般的な定義に留まらないのは、複雑な歌詞もそうだけど、歌い方に深みがあるからでしょうか。
時には高級感さえ感じられる独特な高低差が耳に心地よい。

彼女の書く少女目線の(等身大なのかも知れない)歌詞の中で、達観している一文が出てきてハッとする瞬間を、声からも感じます。

最近Amazonで配信された「Daoko Live Unplugged in 草月ホール」を聴いているときも少女らしい可愛さと、煌びやかな高級感を感じました。
なんとなくソワソワしてしまうから、どんなに好きなアーティストでもライブ音源は苦手なんだけど、Daokoさんだけはちょっと特別。

ソワソワしてしまっても、その声を聞き逃したくないと思わせる魅力がある。まるで好きな子のどんな表情も見逃したくない、手中に収めてしまいたい感じと似ています。神がかり的なその音楽に首ったけです。

本音を言うと、メジャーの中盤くらいから「あれ?」と思う曲がぽつぽつあって、メジャー終盤はぽつぽつどころか、聴いていてハラハラするような、本人がやりたいことはこれじゃないのでは……と言う感じを勝手に受けていて(わたしが勝手に思っていただけですが)、少し離れた時期がありました。

しかし、昨年夏にYouTubeで配信されたライブを見て、あれすごい素敵になってる、と思ったら、現在はインディーズで活動しているそう。
今まで以上にイキイキしている感じがして、嬉しいです。

最近だと「fighting pose」という楽曲がお気に入りです。「fighting pose」というタイトルから、男っぽくアグレッシブな感じがしますが、実際の音源はふわりと可愛らしく陽気、それでいて芯の通ったしなやかな印象を受けました。

1ヶ月ほど前に配信されたyoutube LIVEでも「落ち込んだ時にfighting poseを聴いています。元気がもらえる」というようなコメントを目にしました。まさしく聴いているだけで何かを取り戻して行く感覚がある、パワーのある曲です。

これからどんな歌を歌うのか本当に楽しみだし、常に小さな衝撃を歌詞の中に仕込んでくるので、背筋を正して拝聴します。
ずっとずっと応援しています。

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