10 自室の電気をつけると、十三台のパソコンモニターに迎えられた。 本来ならば実験や研究をしている時間なのだが、今日は早めに寝ることにする。 浴衣をほどき、風呂に入る。 明日には脱ぎ捨てているであろうパジャマを着る。 通学用の鞄を開けて、新学期の時間割をきっちり確認。 クローゼットから制服を取り出し、椅子の背もたれに掛ける。それから靴下、ワイシャツ、スカーフタイをきちんとたたんで傍に置く。 これで明日の準備は万端。 うんうん、と自己満足に浸っているうちに欠伸が零れた。 ベッドにもぐりこみ、首元までブランケットを引き上げる。 目を閉じる。 波音。 空気の揺らぎ。 月光の仄明るさ。 頭の中から感情が溶けだし、夜の粒子と混ざり合う。 ボクの身体を甘い眠気が包み込む。 呼吸がだんだん、深くなる。 とりとめのない考え事の、隙間、隙間が抜け落ちて。 こくり、こくり、夢の舟が進みだす。 ボクは眠る。 ……。 ……。 ……。 明日は今日より、もっと素敵な日になるといい。 <第四章 青春ノスタルジック 完> |