三本目の煙草に火をつけたとき、人の気配が完全にしなくなった。コン一人を除いては。
 フィアスは吸いたての煙草を踏み消すと、真一にそこで待てと指示して、コンテナの中央に向かった。
 コンは銃身を下げて、フィアスを振り返った。
「君の実力は充分に分かった」
コンの服のどこかについている発信機に呼びかけるつもりでフィアスは続ける。
「そして、あんたたちの不思議なタッグも。科学的に説明できない謎に出会ったのは久しぶりだ」
 チリン、と鈴が鳴る。
 コンは自分の目を指差し、続いてフィアスを指差した。大方、あんたの赤い目ほどじゃないよ、とでも言いたいのだろう。
 確かにその通りだ。後天遺伝子は科学的に解明できていない謎がたくさんある。返事の代わりにフィアスは微かな苦笑を返す。
 そして、大量の血液でまだらに染まったコンクリートを見回した。無造作に倒れたたくさんの死体。
 始末に困るな、と思わず心の声が独り言となってつぶやかれる。
 目前に海があるのは幸いだが、これだけの人数を一度に沈めるのはリスクが高い。何より死体を隠蔽いんぺいするためのロープや重石を持ち合わせていない。ここは街から離れた埠頭で、テロ騒ぎも相まって、始末屋の手を借りるにもかなりの時間を要するだろう。
 散らばった死体を目で追いながら撤退の仕方を考えていると、視界の端で何かが動いた。
 それは何重にも連なったコンテナの先に見えた。
 来た道とは違う、海に面した戦場の後方。照り返る海面の反射に、長い金髪が溶け込むように揺れた。
 フィアスは駆け出した。倒れる死体と血溜まりを避け、対象へ近づいていく。
 ウェーブした長い金髪。
 ぴんと伸びた背筋の、細身の女性。
 陽炎に揺らぐ背中は、しかし、傍へ行っても消えなかった。
 足を止める。距離は十メートル。ここから先へ進むには、準備が必要だ。
 早くもいわれのない殺意が、心の中でうごめいている。
 殺せ、と本能が命じてくる。そうだ、こいつを殺して根絶やしにしなければならない。そう思った瞬間、全身の血が騒ぎ立った。
 この高揚感に身を委ねれば、背後に転がる死体と同様、血で血を洗う戦闘が開始される。
 一方で、慎重に動け、と脳からの指令が降る。一触即発いっしょくそくはつの緊張を受け、この危険を回避するありとあらゆる防衛策がシミュレーションされる。その中から知性が最善の一手を選び抜く。
 もちろん、従うのは知性の方だ。
 フィアスは、サブ・マシンガンのマガジンを抜いて遠方に滑らせた。次に本体を地面に置いた。バックアップ・ガンとマガジン、腕時計、ライター、ベルト、携帯電話など、身につけたもので武器になり得る道具はすべて足元に置いた。
 そして、探し続けていた人物の名前を呼んだ。
「フィオリーナ」
 彼女が振り向く。偽色のブルーヒューの目がフィアスを捉える。
 瞬間的な殺人衝動。いくら心の準備をしても遺伝子レベルの欲望が湧き起こるのを止められない。
 フィアスは目を閉じ、数回深呼吸を行う。ささやかな動作だが、それでも感情の大部分を抑制することができた。
 フィオリーナは、静かにその光景を見守っていた。
 いつもより二倍以上の時間をかけながら、彼女のもとへ歩み寄る。
 改めて、確かめる。殺さなければならないという使命に駆られた本能は、背後を吹く風のように無縁のものになっていることを。
貴女あなたに会うのは時間が掛かるな……」
静かに、フィアスは言った。
「……色々な意味において」
 フィオリーナは黒いドレスを着ていた。足元を隠すほど丈が長い。シックなデザインのドレスだ。
 スーツではない。戦闘時のカジュアルで動きやすい服装ですらない。それは、何らかの儀式の際に用いる装束のように感じられる。
 頭の先から爪先までを一瞥して、フィアスは気を引き締める。装束。その姿は不穏の象徴でしかない。
 複雑なレースがあしらわれた両袖が胸の前で合わさると、彼女は伏せ目がちに首を振った。
 ごめんなさい。
 その声は強いびの感情が含まれていた。
「本当に申し訳ないと思っています」
 ……色々な意味において。
 フィアスは先ほどの自身の言葉を反芻する。
 彼女の謝罪は、過去の行動を含んだすべて。そして、未来の行動を含むすべてだ。
 自身の不在がもたらす組織の寄るべなさを理解した上で決意を固めている。そのやり方はリスクが高すぎると警告し、アジトに戻ってくれと懇願しても、ピンヒールの爪先は一ミリも動かないだろう。
 一筋縄ではいかない。いつものことだ。
 目下の彼女は長い睫毛を伏せて、続く言葉を待っている。これもいつものことだが、自ら多くを語るつもりはないらしい。フィアスは微かに拳を握った。謎を開く鍵は、いつもこの手の中にある。
「貴女の心は掴めない」
少し考えて、フィアスは言った。
「貴女に限らず、すべての人間がそうだ。他者が完璧に把握できる、感情や意思は存在しない。貴女の感情は貴女だけのもので、貴女の意思は貴女だけのものだ。掴むことも、動かすことも出来ない。たとえ貴女が願い、俺が望んだとしても、その領域を侵すことはできない」
フィオリーナは目を伏せたままだ。相槌を打つ気配もない。
「ただし、推し量ることはできる」
小麦の穂のように長い睫毛を見下ろしながらフィアスは続けた。
「これまでの事実を足掛かりにして。俺なりの解釈で理解することなら」
フィオリーナは目を開けた。青い目でフィアスを見上げ、硬く結ばれた口を開いた。
「〝マフィアの勘〟ですか」
「俺の父親は科学者だったけどな」
青い目が微かに細まった。
「聞かせてください」
フィアスは一呼吸置くと、頭の中で聞こえ始めた言葉を自身の声で話し始めた。
「リンが拉致らちされる前、俺たちは戦ったことがあったな。前のアジトで。その時、リンとマイチを国外に逃がせと、貴女は要求した。これまでのやり方を変えざるを得なくなったんだ。俯瞰的ふかんてきに物事を見られなくなり、寛容的かんようてきなしたたかさを失った。原因は、その直前――ネオに会ったからだ」
フィアスはそこで言葉を切り、フィオリーナが何の反応もしないことを見て、再び口を開いた。
「ネオとどんな会話を交わしたのか俺は知らない。しかし貴女は、葛藤かっとうというか、自己矛盾を抱えることになった。ネオを潰すと約束し、俺に力を貸しながら、次第にその矛盾は大きくなっていった。はっきり言えば、俺に協力したい気持ちと協力したくない気持ちが拮抗きっこうした。そして今は、後者の占める割合が大きい。俺がそのように感じる根拠は、ネオのアジトを聞き出すと言って、貴女が単独行動を起こしたことに起因する。貴女は既に赤い目の男を捕らえ、その頭脳が理性を保てなくなるほど変化していることを知っていた。埠頭にいた赤い目の少年少女たちは、チーム連携が取れていなかった。取ることができなかった、と言うべきか」
ところで、と話を区切るとフィアスはコンのいる埠頭の中央部へと目を走らせた。
「あの奇妙な友達は、赤目をドイツへ送り込むために呼んだわけじゃないよな?」
 コンは今にもこちらへ駆け出そうとする真一の腕を掴んで引き留めている。通信機の先にいる誰かの指示がそうさせているのだろう。彼らは目的の一つを達成し、次の任務へ移っている。
 フィアスの問いかけに対しても、フィオリーナは何も答えない。感情の読み取れない無表情を貫き、〝マフィアの勘〟の続きを待っている。フィアスは続けた。
「貴女は組織を抜けて、別のチームを作った。狙撃手の二人と、もしかしたら、まだ他に仲間がいるのかも知れない。俺には分からない。一方、ネオは後天遺伝子を複製して、赤い目の兵隊たちを生み出し始めた。彼らは今、街中の至るところでテロ事件を起こし始めている。貴女は俺たちには知られずに、ネオの居場所を突き止めたい。そして彼を……」
 彼を……そこで、話をやめざるを得なかった。
 これはただの推量。仮説に過ぎない。しかし、敢えて言語化するなら、こう言わざるを得ない。
 フィオリーナは組織を捨てて、新たなチームを形成し、ネオを守ろうとしている。
 フィオリーナはぎゅっと唇を噛んだ。
 青い眼差しは力強くフィアスを見据えている。その奥に隠された赤い目が透けて見えそうなくらい、強烈な視線だった。
 フィアスは黙ったまま、彼女を見つめた。今は一秒でも長く時間が欲しかった。〝マフィアの勘〟を覆す決定的な証拠を、時系列を追って見つける時間が必要だ。
 彼女が俺たちを裏切ることなど、あるはずがない。
 フィオリーナの身につけたドレスは、周囲の色を一段と明るく見せるほど黒かった。この世にあるすべての闇を吸い込んで染め上げたみたいに真っ黒だ。
 対照的に、わずかに露出した手や肩先は、白い。人骨のように無機質な白さを保っている。首筋に浮かぶ静脈が、氷下ひょうかの海のように青く流れる。先天遺伝子。静脈に流れる血に刻み込まれた破壊の力。
 後天遺伝子は、先天遺伝子を駆逐する。
 その結末をルディガーは望んだ。
 フィアスは、ゆっくりと、彼女の首元へ手を伸ばした。
 途端、指先に強烈なしびれを感じる。近づけば近づくほど、指先の痺れは大きくなる。
 今にも自分の意思を逃れて、本能のままに動き出しそうだ。彼女の細い首をへし折る。あるいは力の限り首を絞めて窒息死させようとする。それが後天遺伝子の本能。不意の行動を起こさないように、片方の手で痺れる手首を握りしめる。
 その手が近づいても、彼女はどんな反応も示さなかった。青い瞳は、真っ直ぐに灰青色の瞳を見つめ続けている。
 痺れた指先に冷たさを感じた。丸くて、小さな、鉱物の感触。
 ヒスイのネックレス。
 漆黒の衣装の中、唯一淡緑に輝く装身具は、今日も所定の位置に収まっていた。
 彼女はいつもこのネックレスを身につけていた。それを外したのを見たのは一度だけだ。
 彼女はそれを静かにベッドの上に置いた。
 あのときの記憶が、鮮明に脳裏に焼きついている。
 自分の体内で後天遺伝子の力が覚醒した直後のこと。
 ベッドの上で、この手が彼女の首を締めた。
 先天遺伝子を殺したい欲望が芽生えた。それは、後天遺伝子にインプットされた本能――抗えない性なのだと、フィオリーナは教えてくれた。
〝兄が先天遺伝子の創造を望むように、わたくしは先天遺伝子の破壊を望んでいます。わたくしたちはこの世に生を受けるべきではなかった。この気持ちは変わりません〟
その言葉を、昨日のことのように思い出す。
「ネックレスの贈り主は誰だ?」ヒスイに触れながら、フィアスは聞いた。
「ルディガー? それとも、ネオ?」
「ルディガーです」と彼女は再び口を開いた。
 そして、優しく微笑んだ。
「彼からの贈り物は、すべて大切にしています」
 フィアスは、フィオリーナを見た。まじまじと見つめ続けると、彼女の瞳の反射の中に見開いた灰青色の瞳が映り込んだ。
 何故? と問う必要もない。彼女はその必要性を感じさせなかった。
 彼からの贈り物。本当に守る必要を感じているのは……フィアスはゆっくりと、手を遠ざける。
 指先の痺れは、彼女から遠ざかるにつれて治った。数秒も経つと、何事もなかったかのように通常の状態に戻った。
「マフィアの勘が外れたのは初めてだ」とフィアスは言った。
「外れて、良かった」
「いいえ」フィオリーナは首を振る。そして悲しげに言った――残念ながら、貴方は正しい。
「わたくしは兄も守りたい。ネオは、幼い心の痛みを分かち合うことの出来た唯一の人です。わたくしは先天遺伝子の破壊を望んでいる……その前に試したいのです。かつてのように、もう一度心を通わすことができないかと。わたくしの想いに共感してもらえないかと。すべての人間が敵となる前に、兄をこの世界から救い出したい」
 駄目だ。
 反射的にその言葉が口を突いた。自分でも驚くほど、強い口調だった。
 昂った感情が殺意に誘われないように、拳を握り締める。
 唾を飲み込み、フィアスは口を閉じる。
 貴女はネオの性格を熟知しているはずだ。あの子供は、人の感情を楽しげに利用する。人の弱さに漬け込んで、ゲームをするようにプレイヤーを動かしてゆく。知能は高いし、フィオリーナ以上に長い時間を成長しない身体とともに過ごしてきたようだが、時の流れに反して、考え方は未成熟な子供のままだ。フィオリーナの説得に応じるはずがない。貴女が突き進んでいるのは破滅の道だ。
 万分の一の確率で成功したとしても、貴女は死ぬことになる。残党の赤目の始末はどうする? それから組織は? 貴女以外に、誰が組織の秩序を保てるというのか。組織俺たちの影響力は犯罪社会において甚大だ。秩序がなくなれば組織は崩壊を起こし、虎視眈々と後釜を狙う対抗勢力との抗争が世界中で巻き起こるだろう。
 そもそも、それはルディガーの立てた計画とは違う。彼が生命を賭けて実現しようとしていたのは、発明した後天遺伝子を用いて、先天遺伝子を駆逐することだ。貴女の行動は彼の意志をないがしろにしている。貴女は……彼を、ルディガーのことを、愛していたんじゃないのか。
 知性が火花を散らし、次から次へと説得材料を思いつく。しかしそれらの言葉は、放つ前から空虚さを帯びた。知性など何の力も持たない。これらの説得はただのゴタクに過ぎない。
 彼女の感情は彼女だけのもので、彼女の意思は彼女だけのものだ。
 フィアスは思いついた数々の言葉を打ち消すように深く息を吐き出した。
 それなら俺はどうだ? 誰にも変えられない、俺の感情や俺の意思は、彼女についてどう思っているんだ?
 その答えを出すために、長い思案は必要ない。
 俺の感情、俺の意思……それらが望むのは、一つだけ。
「行かないでくれ」
 彼女がわずかに身動いだ。
 微かに、ほんの微かに息を呑む音が聞こえた。
 無風の埠頭に、わずかな感情の波は大きく波紋した。
 フィアスはゆっくりと腕を持ち上げる。彼女に向けて、そっと手を伸ばす。今度は指先が痺れることはなかった。心はいでいた。何兆個という殺戮衝動が、跡形もなくなってしまったかのように。
 両腕にフィオリーナを抱きしめたとき、痙攣けいれんに似た震えが、彼女の身体から放たれた。
 それは、意思の力で難なく押さえつけていた先天遺伝子の、一瞬の抵抗だった。
 殺しの師弟、仕事上の主従、異質な遺伝子を抱える同胞、そしてそれらを凌駕りょうがする何か。
 後天遺伝子よりも、もっと深くに刻み込まれた何かが、こうして彼女を引き留めようとしている。
 ……そうか。
 これは、ルディガーから受け継いだもう一つの答えだ。
 彼は先天遺伝子を破壊する後天遺伝子をつくり出した。しかし、その力を彼女には用いたくない。
 ルディガーは……、俺は……
「フィオリーナに死んでほしくない」
その声は自分の声のようでもあり、自分以外の声のようでもあった。
 フィオリーナは、そっとフィアスの首に腕を回した。頬を寄せ、囁くようにつぶやいた。
「道徳や良識は、すべて抜き取った……優しいのは、生まれつきね」
首に回された腕が緩む。
 白い両手が頬に触れると、彼女は伸びをして、フィアスの唇に口付けた。
 短くもなく、長くもない。
 最後の別れにぴったりの口づけだった。
 フィアスの感情の揺らぎをついて、彼女はその腕から逃れた。踊るようなステップを踏みながら、瞬く間に距離を空ける。
 女神のような微笑みが、日の光を受けて輝く。
「本当に守りたいものを守るのです。貴方も、わたくしも」
フィアスは彼女を追って駆け出そうとした。瞬間、黒い影が目の前に現れ、鋭いパンチが繰り出された。身をひねって交わし、続く鋭い蹴りを受け流すように左手で弾く。
 反射的に退いた間を、ライフルのバレルが埋めた。
 サプレッサーに覆われた銃口が額に向く。
 光のないコンの目を、フィアスは睨みつけた。威嚇いかくの通じない相手であることは百も承知だったが、そうしないことには気が収まらなかった。
 コンの背後で瞬く間に小さくなる背中。揺らぐ陽炎かげろうに溶け込むように今にも消えそうだ。
「それが、あんたたちの友情か」
低い声でフィアスは言った。
「彼女を無駄死にさせることが、あんたたちの情けか!」
呼吸に合わせて、コンがわずかに右肩を持ち上げた。それが、もっとも標的を撃ちやすい姿勢なのだろう。肩先が後方の情景を隠すと、フィオリーナの姿は完全に見えなくなってしまった。
 荒く息を吐きながら、フィアスは狙撃手を睨み続けた。
 その銃口に抵抗してフィオリーナの跡を追おうとすれば、致命的ではないものの行動不能な一撃を見舞われる。その程度の予測は簡単につく。こちらは丸腰で、戦いの術がない。しかし秒針が傾けば傾くほど、怒りの熱は上がってゆく。後天遺伝子に侵食される嫌な感覚はしないが、その感情はそろそろ理性を上回りそうだ。武器は所持していないものの、感情のおもむくままに一戦交えたい気分だった。
 他のもので代替できない怒りを感じたのは久しぶりだ。
 重圧な殺気……というより怒気を感じたのだろう。
「落ち着きなよ」とコンが言った。
「私の話を聞きたいなら、怒りを消せ」
もちろん、それは彼女の声ではなかった。戦闘中の彼女は喋ることができないようだし、平常時の声とも明らかに違う。さらなる別人格というのでもない。
 完全に別人の、しわがれた声がコンから聞こえてくる。
 鈴の音と同じく、電子的なノイズにくるまって。
 一連の戦いを眺めていた正体不明の観測者、コンを操る鈴の音の主、狙撃手の片割れである観測手。それが、この声の主の正体だ。
 フィアスは両拳を固く握りしめ、大きく息を吐いた。怒りと興奮で鮮やかすぎるほど明るく見えていた周囲の景色が、落ち着いた色合いを帯びてくる。
 フィオリーナはいなくなった。跡を追うことも叶わない。
 受け入れがたい事実を認めて、そこに付随ふずいしたあらゆる感情から距離を取る。
「そうだ。それでいい」としわがれた声が言った。
 恐る恐る、といった足取りで真一が近づいてきた。何も言わずフィアスの隣に立ち、コンに対峙たいじした。
 真一が輪にくわわったところで、狙撃手の片割れが話し出した。

「初めまして、狼くん」